婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜
「っ……!」
ふと、鏡の中の自分と目が合った。
リラックスしていた身体が、途端に強張る。
鏡は、真実を映す。
幼い頃から、鏡に映る己を意識しなさいと何度も言われてきた。気高く、美しく。鏡の中の公爵令嬢は、完璧でないといけないのだ。
以来、わたしは鏡の世界を生きている。立派で模範的な公爵令嬢として。
「本当のわたしは、どこにいるのかしら……?」