婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜

5 斧がない

「ここよ、ここ!」


 朝食が終わると、早速わたしは辺境伯を伴って外へ出た。
 彼は一応ここの領主なので、事前に許可をいただかなければ。今後のわたしの自立計画も、きちんと話しておきたいし。

 わたしたちは、森の中の少し開けた場所へと辿り着いた。
 ここは庶民の家が二件ほど入るくらいの広さで、日当たりもいい。昨日の領地視察で目星を付けていた場所だ。

「ここに小屋を建てるの。わたしの城よ」

「小屋ねぇ……」と、彼は胡散臭そうに周囲をしげしげと眺める。

「この土地はどなたかの所有物なのかしら? だったら、わたしが買い取るわ」

「ここは特には……まぁ、強いて言えば俺の土地だな」

「じゃあ、売ってちょうだい。ちゃんと適正価格を支払いますわ」

「別に金はいらないさ。夫婦の財産は共有だからな。マギーの好きにしてくれ」

「あら、ありがとう。太っ腹ね」

「――で、これが君の言う自立なのか?」
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