婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜
◆ ◆ ◆
やっと静けさが戻った。残るのは風の音と小鳥の鳴き声と――い、いま獣の雄叫びがした気が……いいえ、気のせいね。
それにしても、この魔の瘴気の濃さはどうにかならないかしら。王都に比べて身体が重くなって動きづらいのよね。
「えっと、まずは小屋の材料を用意しなくちゃ。周囲の木を切って利用しましょう」
頭の中で小屋作りの計画を立てる。
一番日当たりの良い場所は住居にしましょうか。いえ、畑のほうが良いかしら?
「とりあえずは木を切りながら考えましょう――あっ!」
ここで、わたしは大事なことに気付く。
木を切るには斧が必要だ。それに、小屋を建てるのにも道具がいる。
何よりもまず、それらを用意しなければならなかったのだ。
「斧って……どうやって作るのかしら!?」
自立のためにも、道具も自身で作らなければいけないわよね。
刃物だから……鉄? どこに行けば鉄があるの? あっ、加工するのは火が必要よね。……まぁ、火は問題ないか。