婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜

 その時、突然辺境伯が胸を抑えてその場にうずくまった。

「ど、どうなさったの!? 大丈夫!?」

 わたしは跪いて、彼の肩を支える。
 彼は苦しそうに喘ぎながら、

「わ、悪い……。持病の発作が……。済まないが、台車の側面に結びつけてある水筒を取ってくれないか? 水を飲めば落ち着くはず……」

「分かったわ!」

 急いで台車へ走る。そして水筒を持って、一目散に彼のもとへ戻った。

「……んっ」

 彼はごくごくと勢いよく水を飲む。あれだけ苦しんでいたのが、すっかり治ったみたいだ。良かったわ。

「っぷはぁ~! これで落ち着いたよ。ありがとう、マギーのお陰だ」

「そんな。とんでもないことですわ」

「お礼に君にこの斧をあげよう。存分に使ってくれ」

「馬鹿にしているのっ!?」
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