婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜


◆ ◆ ◆




「よし、これでやっと10本目……」

 わたしは相変わらず木を切っていた。小屋を作るために丸太が必要なのだ。

 はじめは辺境伯が実演してみせてくれて、枝を折るみたいに軽々と切り倒していた。
 だから、自分も簡単に出来ると思ったけど、ただ見るのと実際にやるのでは全く異なっていた。

 まず、斧が重い。一振り一振り、気合いを入れて振り上げなければならない。それだけで体力がごっそりと持って行かれてしまう。

 そして、刃こぼれ。斧の刃先はすぐに駄目になって、その度に研がなければならない。その作業がまた時間がかかるのだ。

「はぁ……」自然とため息が漏れる。「自立って難しいのね……」

 辺境伯には偉ぶって自立をするなんて宣言したけど、木を切るだけなのにこんなに重労働だなんて……。
 わたしは、本当に自立できるのかしら?

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