婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜
◆ ◆ ◆
「イヤあぁぁぁぁぁああっっ!!」
「マギーっ!?」
何度目かの悲鳴のあと、やっと辺境伯がやって来た。これほど彼を待ち遠しく思ったことはない。
わたしの身体は、赤ちゃんくらいの大きさの七色に輝く冷たい物体がペタペタと貼り付いて、それは無数の舌でペロペロと全身を舐めて来たのだ。
「ひぃぃぃっ!!」
気持ち悪い! 気持ち悪い!
粘液性の垂れた唾液がねちょねちょと絡み付く。くすぐったくて、気持ち悪くて、ぞわぞわと全ての皮膚が粟立った。
「こらっ! お前ら! マギーから離れろ! しっ! しっ!」
にわかに辺境伯がそれらの物体に水魔法を放つと、蜘蛛の子を散らすようにザザッと離れていった。
脱力して、へなへなとその場にへたり込む。身体中がべちょべちょで、不快感でたまらなかった。