婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜
「もうすぐだな、マギー」と、デニス様がいつも通りに笑顔で話し掛けてくる。
「そうね」
「完成したらパァ~っとパーティーをしよう!」
「もうっ、ただ騒ぎたいだけでしょう?」
「あっ、分かった~? 俺、皆でわいわい馬鹿騒ぎをするのが大好きなんだ!」
「……知ってる」
「そうかそうか! わっはっは!」と、彼は豪快にわたしの背中を叩いた。痛いんだけど……。
「本当に……まもなく完成なのね」
わたしはぼんやりと小屋を眺めながら呟く。
完成するということは――終わりを迎える、ということだった。
完成したら、わたしはここで一人で生活することになる。自給自足の一人の生活。もちろん周囲とは関わりを持つつもりだけど、デニス様の住むお屋敷には、もう――……。