婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜
「だから、マギー」彼の声音に優しさが戻る。「君も……早く元の世界へ戻ったほうがいい。今ならまだ間に合う」
「嫌よっ!!」
最初に出た言葉は、拒絶だった。
自分には、受け入れられなかったのだ。
「絶対に嫌! わたし、元の世界なんて帰りたくない! ずっとここにいるわっ!!」
「駄目だ! ここに居続けたら君は確実に近いうちに死ぬ。そんなの……絶対に駄目だっ!!」
「それでも構わない! わたしは、辺境が好きなの。やっと領民たちとも仲良くなれたのに、小屋作りもまだまだこれからなのに……帰りたくないわっ!!」
「俺は君が弱っていく姿を見たくない。君には、ずっと健康で、ずっと笑っていて欲しいんだ」
「わたしは、ここに居られないのなら……死んでもいいわ。だって、デニス様の居ない世界なんて意味がないもの」
「……向こうにも俺はいる。領地もある」
「わたしのこと嫌いになったの? だから、追い出したいの?」
「違うっ!! 俺は君に生きて欲しいから。生きて、幸せになって欲しいから……! もう……それしか……方法がないんだっ…………」