婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜
その後も、わたしたちの話は平行線だった。
わたしのすすり泣く声だけが部屋に響く。彼は天井を仰いで深く息を吐いていた。
「辺境伯命令だ」
長い沈黙のあと、ついに彼が口火を切る。
その声音は、魔物と対峙した時のように険しく、冷たさを帯びていた。
「最近の魔物の増加は、君の存在が原因だ。この世界の異物である君が、魔の瘴気を乱しているのは明白だ。これ以上の滞在は更に瘴気を歪めるだろう。……迷惑だ」
「…………」
彼は、一層低い声で続きを述べる。
無慈悲な、宣告を。
「マーガレット・ローヴァー公爵令嬢。直ちに元の世界に帰るように。従わなければ……辺境に災厄をもたらす人物として……………………俺が、斬る」