【完結】婚約破棄が破滅への始まりだった~私の本当の幸せって何ですか?~
「お前はマリエット侯爵令息として生まれてまもなく王家に引き取られて『王太子』として育てられたのだ。そして国王に相応しい者かどうか、さらにここにいるクラリスの婚約者として相応しい者かを見極めるためにな」
「クラリスの婚約者……?」


 そうだ、私は──


「クラリスはこの国の王女である」

 国王がそう言うとディオン様は信じられない、何が起こっているんだと呟きながら目をきょろきょろとさせる。

 そう、私こそがこの国の正統なる王家の血筋を引く者であり、まぎれもない今私の隣にいる国王の娘。
 マリエット侯爵家は私の育ての家であり、お父様は育ての親、そしてお姉様もローランも義理の姉弟だった。

 全ては世継ぎに恵まれずに困った国王、そしてそれに協力したお父様──マリエット侯爵が仕組んだこの国の未来を守るための戦略であり、この国をより長く続けるために考えたもの。

「クラリスは病でもう永くないのだ。だからこの国を立派に支えてくれる人材が必要だったのだ」

 そう。私はもう永くないから王妃として夫となる王を支えることはできても、仮に私が女王として立つことになっても未来の国王は必要になる。
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