【完結】婚約破棄が破滅への始まりだった~私の本当の幸せって何ですか?~
 そう気づいたのは彼との話の途中だった、薬の効能的に毒のような感じではなさそうだった。
 私は幼い頃から密かに毒殺などのリスクを少しでも回避するために、薄めた毒を飲んで身体に耐性をつけていた。
 大人になってからそれをすると、かなり危険性が高いのだが子供の内から数年かけて少しずつすると毒の耐性がつくのだそう。
 昔からこの国の王族の成人になるまでの通過儀礼の一つとして極秘におこなわれているものの一つだった。

「クラリス様っ!」

 意識がぼやっとしている私の耳にリオネル様の声が届く。
 彼は私の様子に気づくと、すぐさま私の健康状態などを確認して何か薬を盛られたのではないか、という予測をたてる。
 私の身体は火照って顔が赤くなり、そして目の前にいるリオネル様に触られた腕にビクリと反応してしまう。

「──っ!」
「これはまさか、クラリス様、もしや」
「ええ、おそらく媚薬の一種な気がします。おそらく先程のシャンパンに入っていたものかと」
「わかりました、部下に男爵令息の身柄を確保させますので、少々お待ちを」
「……はい」

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