愛おしき者
プロローグ
赤…

赤…

赤…

私は床に座り込み、目の前の光景に、思考回路が完全に停止していた

(これは…何…?)

目の前に転がっているモノに、手を伸ばしかけ私は手を止めた…

(えっ?)

伸ばしかけた私の手は、赤く染めらている

私は、その手を顔の前に移動させ、まじまじと眺めた…

(何…?)

私は、手から腕…腕から体へと移動させると、私の全身が赤く染められている…

(なんで?)

私は、そこに充満している臭いで、自分を染めているモノが何かを理解した

(これは…血だ!!…でも…どうして!?)

しかし、自分の体を確認しても、私自身の体は、怪我をしている様子はない

不思議に思い、前に視線を戻すと、目の前に転がっているモノと目があった

そのモノは、色を失ったガラス玉のような瞳で、私を見つめている…

私は、震える手をゆっくりと伸ばし、そのモノの頬に触れた…

(私は…アナタを…知っている…アナタは…私の…)

そこで私は、自分の意識を手放した…
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