愛おしき者

｢今日、合コンあるんだけど、一緒に行かない？｣

彼女は身を乗り出し、私の手を両手で掴みながら、笑顔で言った…

｢行かない…｣

私は、手を掴まれたまま即答する

｢だって、誰かが欲しい時もあるのよね？だったら、その時の為に確保しといた方がいいって｣

彼女は、満面の笑みで私に提案する…

｢別に今は必要ないから…｣

私は、引きつった笑顔で、今だ離そうとしない彼女の手を、空いている右手で剥がしながら答えた…

すると彼女は、両手を顔の前で合わせ…

｢お願い！今日の合コン、どうしても一人メンバーが足りないの！今日の相手は絶対に逃せないの！お願い！このとおり!!｣

彼女が懇願してきた…

｢イヤだ…絶対行かない…｣

｢お願い！ただ居るだけでいいから！なんとか、頭数だけは揃えたいの！｣

彼女は、私の肩を掴み有無を言わせない勢いで攻めてくる…

｢居るだけって…｣

彼女の勢いに、どん引きした私に…

｢今日だけは、どんなに断られても、引くつもりないから｣

満面の笑顔を浮かべ、私の両肩を掴んだ手に力を込めて、彼女は言った…