愛おしき者
「ちょっと!」

私は、慌てて男を呼び止め、先ほど奪われた荷物を取り返した…

「そんな、勝手に…」

すると男は、目を見開き答えた

「おかしいなー君の友達からは、本人の許可が下りたからって聞いたのに…」

男は眉を下げながら、自分の顎を摘んだ…

「私は、そんな許可出した覚えはありません…」

と答え、私は荷物を肩に下げ直した

しばらく待ったが、男はまだその場から動くつもりはないらしい…

業を煮やした私は…

「とりあえず、そこを退けて帰って下さい」

私は道を開け、男に帰るように促す…

すると男は、わざとらしく肩を落とし…

「そんなー、せっかくここまで来て待ってたのにー」

と、頬を膨らませた

(何?この男…)

さすがに、ここまでされると、気持ち悪いのと同時に、イライラが募ってくる…

「早く、帰って下さい!」

私が睨みながら言うと…

「そんな冷たくすることないじゃん…せっかく待ってたんだから、お茶の一つでもご馳走してよ」

そう言い放ち、男は私から荷物を奪おうとする

「やめて下さい!あなたを部屋に入れるつもりはありません!それに、もうここにも来ないで下さい!」

私は、男に荷物を奪われないように、荷物下げている方の肩を壁に押し付けて叫んだ…
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