オレンジジュースを飲む頃
教室に入ると、先程の彼が私の前の席に座っていた。
それもそのはず、新村と西浦は、名簿で前後なのだから。
私の席は左から3番目の列の一番後ろ。
非常に分かりやすい。
そっと座ると、私の右隣に座る子がじーっと私を見てきた。
美人、と呼べる類の、可愛い子、という印象。
「名前何て言うの?私那津花。よろしくね」
「ゆ、唯穂。西浦唯穂です。こちらこそよろしく」
「めっちゃ可愛いんだけど。メイクってどんなの使ってるの?化粧水とかは?」
「え、えっと、その、えっと……」
彼女のマシンガントークに戸惑っていると、彼女の前の席、つまり私の右斜め前に座る男子が後ろに振り返ってきた。