オレンジジュースを飲む頃


「いてっ」


突然右耳のイヤホンを外されたので、怒ろうかと思ったが、外したのはまさかの人物だった。

目の前に座り、呆れ顔をしている、彼。


「な、何するの?」

「何って。明らかに俺の事避けてるから腹が立っているだけ」

「……さ、避けてないし。勉強、したいからに、決まってんじゃん」

「嘘つくのへったくそ。大体さ、俺はゆいの性格分かっててあんな事言ったんだから、気にすんなよ」

「気にするに、き、決まってんじゃん。それに、待てないみたいな事言ってたし、明らかに早く答え出せっていうような言い方だったし、」

「それは事実。答えを1日でも早く出して欲しいのは本当」


だから嫌なんだ。

光瑠は曲げたく無い事は、絶対に曲げない人だから、私が分かりやすく避けている事も嫌なんだろう。

けれど、腹立っているという言い方の割には、声色は優しく聞こえるのは、何故?


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