オレンジジュースを飲む頃


初めて那津花の前で涙を流した。

那津花はそっと私の頭を撫でてくれる。

その温かい手が、私に落ち着きを与えてくれた。


17歳夏。

オレンジジュースが飲みたいこの頃。



『やっぱここで飲むオレンジジュースが一番特別』



そう言って美味しそうに飲んで笑う彼の笑顔が、頭からこびり付いて離れない。

やっぱり光瑠の事、考えられない日はない。

けど、私はその気持ちが曖昧過ぎて、嫌い。


恋愛経験の少なさは、こういう時に活きてくる。

中学の頃から何人もの子と付き合ってきた那津花とは違い、あまり男の子に対して恋愛感情を抱いてこなかった私。

常日頃カッコいい芸能人や他校の男子を見て目を輝かせる那津花とは違い、淡々とした感情で接してきた私。


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