オレンジジュースを飲む頃
「さぁ、教室戻るか」
昼休み終了のチャイムが鳴り、敦の一声で私達は立ち上がって教室へと歩を進めようとした。
今日の午後、英語と数Bか。
嫌々思いながら歩いていると、目の前を歩いていた光瑠が突然立ち止まった。
「ど、どうしたの?」
「ゆい。今日の放課後、いつものとこでいつもので」
「うん。今日はいつものと追加でアイスも」
「了解。じゃあ、また放課後で」
〝ゆい〟と呼ぶのは光瑠だけ。
唯穂という、私の名前を何故か彼は最初から嫌っていた。
理由は聞いたことがない。