オレンジジュースを飲む頃


「さぁ、教室戻るか」


昼休み終了のチャイムが鳴り、敦の一声で私達は立ち上がって教室へと歩を進めようとした。

今日の午後、英語と数Bか。

嫌々思いながら歩いていると、目の前を歩いていた光瑠が突然立ち止まった。


「ど、どうしたの?」

「ゆい。今日の放課後、いつものとこでいつもので」

「うん。今日はいつものと追加でアイスも」

「了解。じゃあ、また放課後で」


〝ゆい〟と呼ぶのは光瑠だけ。

唯穂という、私の名前を何故か彼は最初から嫌っていた。

理由は聞いたことがない。


< 8 / 67 >

この作品をシェア

pagetop