ワインとチーズとバレエと教授
4日後、ようやく理緒が、ベットから起き上がり
水やお粥などを食べるようになった。
それでも体がだるそうだった。

亮二は心配していたが、おそらく疲労と風邪だろうと思っていた。理緒も同じ見解だった。

「明日はバレエ教室行かなきゃ…
…でも行けるかな…」

理緒はなんだか、心配そうだった。

「そろそろ大丈夫だと思うんだけどな」
亮二が理緒の熱を測ると37℃だった。

なんとなく、微熱が続いているようだ。
理緒は「これぐらい平気かな…」と自分に言い聞かせるように言った。

亮二も「平熱になったら大丈夫だろう。せっかくバレエを続けているんだし、通った方がいいんじゃないか?」と背中をした。理緒も、うんうんと頷いた。

翌日、理緒は、バレエスタジオへ戻った。
いつも通りのレッスンをこなし、
1ヶ月後のオートクチュールのモデル撮影のために
さらに身体を引き締めたが、その2週間後、やはり朝、起きれなくなった。

「理緒、大丈夫か?」と亮二が声をかけたが、理緒は「うーん…」というだけだ。

「だるいのか?疲れてるのか?」

亮二がベッドでうずくまっている理緒に聞くと、全身的にだるいのと、足が痛く動けないという。

亮二が熱を測ると、やはり37.6℃の微熱だった。

「一回、病院で診てもらおう」と亮二は、翌日、自分の勤める病院に理緒を連れて行った。

すぐ、内科にかかったが、血液検査には何の異常も
みられなかった。 心配した甲状腺も異常なしだった。

内科の診察室で理緒が最近、目が眩しいと言ったようで、内科医は、眼科にもかかるように亮二に勧め、亮二は内線で眼科に理緒を受け入れてもらえるか連絡を取ると、すぐに対応するという返事だった。

理緒の視力は若干、下がっていたが、生活に支障がある程ではなく、眼圧も正常であった。

おそらく疲労だろうという判断が出た。

「一週間程、バレエをお休みしてみたらどうですか?」と内科医からも提案され、理緒は了承した。

亮二は、外来が終わると、理緒の血液検査のデータを見て一安心した。

亮二は検査が一通り終わった理緒を、病院の食堂に呼び一緒にランチを食べることにした。

理緒が「内科の先生が、一週間ほどバレエを、お休みした方がいいって」と伝えてきた。

「でも、あと1週間後にモデルの撮影があるんだろ?」

「…うん、それも断った方がいいかな…」

亮二は何となく、それが、もったいないように思えた。

「理緒、せっかくなんだし、モデルの仕事は引き受けたらどうだ?今更、断ったら友達も困るだろ?」

「そうなんだけど…その為にはコンディションを
整えなきゃいけないし、一週間もバレエを休んだら
筋肉が落ちてしまう…もうオートクチュールのサイズの寸法を測ってしまったから、これ以上、太れないし痩せれない…」

「だったら、今回は無理してでも、バレエ教室に通って、撮影が終わった後、休めばいいんじゃないか?血液検査も特に異常はなかったし、軽く汗を流す程度で通えばいいよ」

そう亮二は提案してみたが、理緒は黙っていた。

食堂で一緒に、カレーライスを食べたが、理緒は食欲がなさそうだった。

理緒が今までにないほど、沈んだ目をしていることに亮二は気づかずにいたー

< 103 / 302 >

この作品をシェア

pagetop