ワインとチーズとバレエと教授
写真撮影のカメラマンも到着していた。
カメラマンはこの式場専属カメラマンで
理緒に式場を案内し、どこで、どのように
撮影するかイメージを伝えたいと申し出た。
理緒も、ドレスを着て動きにくくなる前に、
案内してもらうことにした。
このチャペルのレッドカーペットは
日本で一番長く、天井も日本で一番高く設計されていると言いながら、カメラマンは名刺を渡し式場のフォトウエディングスポットになる場所を説明し始めた。
ガラス張りの廊下は、花嫁の前撮りのために用意されたもので、日光によってガラスに映る、花嫁が、左右対称に写るよう緻密に設計されているという。
午前に撮影をお願いしたのは、その理由からだと伝えられた。
次に通されたのは、ロココ調の椅子が並び
天井から巨大なシャンデリアがぶら下がった部屋だ。
これも、花嫁の前撮り撮影用の
部屋であり、フォトウェディング用の部屋だと説明された。
外には巨大な噴水があり、新郎新婦、親戚などの集合写真を撮る場所として、最適に設計されているという。
青空だと、天空にいるように撮影することが可能という。理緒が位置関係を素早く覚え、カメラマンに「撮影時間と、日照時間を教えてください」と聞くと、カメラマンは少し驚いた顔をしたが、今日の11時から13時30分までが一番、晴れていると伝えられた。
「では、撮影は、最初にガラス張りの廊下、次に噴水の場所がよいですね、となりにある白いベンチのバラ園での撮影を可能ならやらせて頂きたいです、大聖堂はあとに回しても日照にそれほど影響はなさそうですね」
理緒のあまりにも早い飲み込みの良さに、カメラマンは「モデル経験がおありですか?」と聞いた。
理緒は「いいえ、でも、バレエでも一番鏡にキレイに映る時間帯がありますので」
と答えると、カメラマンが納得したようだった。