ワインとチーズとバレエと教授

巨大な大聖堂とチャペル、そしてフォトウエディングの撮影スポットを下見したあと、理緒は、オートクチュールの着付けと、ヘアーメイク室に連れられ、そこに友人が待っていた。

友人は「本当に、引き受けてくれてありがとう!助かった!理緒ちゃんを誰よりもキレイにするからね!」

と、たくさんあるメイク道具を出しなが嬉しそうに言った。まず、着付けから。

オートクチュールは専属スタッフ2名によって着せられた。そのあと、ヘアー、メイク、アクセサリー、ティアラ、グローブと手際よくスタイリストたちが、理緒にほどこしてゆく。

途中、カメラマンが、メイクが完了寸前、
理緒の唇に、ルージュを塗るところを撮影し、リアル感を演出した。

その後は理緒がイヤリングを、自分でつける姿も撮影した。

「では、本番行きますか」

と、笑顔でカメラマンが言った。

オートクチュールの撮影は2時間ほどで終わると言われたが、結果は、6時間となった。
なぜなら、理緒がカメラマンの魂に火をつけたからだ。

「風がなく日光が入ってます、
噴水と庭園から撮影をお願い致します」

と、理緒が言うとカメラマンは

「分かってくれてありがとう」

と、ニッコリ笑った。

理緒は噴水の前にとりあえず棒立ちで立つと、カメラマンが

「テスト」

そう言うと、カシャリと音がした。

「テスト」

もう一度カシャリと音がした。

「テスト」

3枚撮り終わり、カメラマンがアシスタントに細かな指示を出していた。

「じゃあ、本番行きますか…気軽に、動きを見せてくれたら写しやすいです」

棒立ちの理緒が

「はい」

と返事をした。

ヘアセットから、ずっと理緒についている友人は

「あんまり緊張しなくていいからね!」

と、声をかけてくれた。

理緒が棒立ちなのでさぞ、心配したのだろう。

「じゃあ行きます」
 
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