ワインとチーズとバレエと教授


社宅から病院まで徒歩5分だ。

病院に到着した理緒だが、医局がどこにあるのか
全く分からない。

そこで受付の女性に

「あの、医局はどちらでしょう?」

と聞いてみると、受付女性はら
いぶかしそに理緒を見つめ

「どちら様でしょう?
ご要件は?」

と聞かれ、

「あの津川と申します、
津川先生に、こちらを、
お持ちするように言われて…」

そう言うと、受付女性はハッと
顔つきが変わり

「大変失礼いたしました」

と言い、すぐに内線で

「津川先生でしょうか?お嬢様がいらしています、
はい、承知致しました」

と、いそいそと内線を切り

「大変失礼いたしました、津川先生が医局にそのまま、お越しくださいとのことで、ご案内致します」

と、女性は立ち上がると理緒が

「大丈夫です、ここを真っ直ぐ行って
右側に曲がるのですよね?」

と、伝えると

「そうですが、少々遠いのでご案内します」

と受付の女性が立ち上がると

「大丈夫です、一人で行けます、
お手数をおかけしました」

と、理緒はお辞儀をした。

なんだか自分の存在が、
恥ずかしかった。
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