ワインとチーズとバレエと教授

医局にたどり着き、亮二の姿を探すため
キョロキョロしていると、

「あ、理緒、こっち」

と、白衣の亮二が手をあげた。
理緒がすぐ亮二に駆け寄り
「あの、これでしょうか?」
と資料渡した。
「ありがとう、すごく助かったよ」

亮二が微笑んだ。
すると、周りの先生が

「津川先生の娘さんですか?
綺麗なお嬢さんですね」

「お弁当、いつも
素晴らしいですね」

「バレエはどうですか?」

「この前、モデルのお写真を拝見しました!
いやー、美しい」

理緒は知らない医者たちに、バレエや料理やモデルの事まで褒められ、顔が真っ赤になった。

「津川先生も自慢ですなぁ」と院長が笑いながら出てきた。

理緒は恥ずかしくなり
「あ、あの…失礼いたします」
と頭を下げて出て行こうとしたとき、

亮二が
「弁当を持って帰るからな」
と微笑んだ。

理緒はソワソワしながら
社宅に戻った。
 
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