ワインとチーズとバレエと教授


理緒の内科での治療が始まった。

慢性疲労症候群の治療は、
現時点で、対症療法しかない。

高濃度のビタミンと炎症を抑える薬、そして、特定の漢方が有効とされている。

あとは、理緒自身がひたすら、無理のない生活を静かに送ることだ。

精神科では誠一郎は、理緒に睡眠薬と抗うつ剤の処方を開始した。

理緒はブレる事なく、治療に専念した。

家では、ずっと見ることが出来なかった
バレエのDVDをようやく観賞出来るようになり、

いっときは聴くことさえ出来なかった、
バレエやクラシック音楽も聴けるようになり、
捨ててしまおうと思ったトゥシューズも、
記念に飾れるまでになった。

今は、家でベッドの中で、ユーチューブやネットフリックスなど見て過し、あまり出歩かなくなった。

引きこもるのも良くないが、今の理緒には
静かに生活することに、慣れてもらうのが一番だった。

それが一定期間、過ぎれば図書館など、静かで刺激のない場所へ行き、どれだけ自分が疲れないか実験していくのが慢性疲労症候群の治療の一般的なやり方だ。

どうやら、理緒は目的が定まったら、一直線に行ける性格のようで、精神科も内科の治療も、思ったより順調に進んだ。

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