ワインとチーズとバレエと教授
「早く普通の生活にもどりたいな」
と、理緒が診察室で言った。
「焦るのはよくありません、
このペースを保つことが重要です」
理緒は少し不満そうだ。
「睡眠薬はどうです?」
誠一郎はデエビコを処方していた。
「効いてます、朝までぐっすりです」
「抗不安薬はどうですか?」
「いい感じで効いていると思う」
一般的なソナックスやデパス辺りで
何とかなっているようだ。
「そうですか、それはよかった」
いつの間にか、理緒は誠一郎に、少しフランクな言葉遣いになっていった。
誠一郎は、それを少し嬉しく思っていた。