ワインとチーズとバレエと教授


「早く普通の生活にもどりたいな」
と、理緒が診察室で言った。

「焦るのはよくありません、
このペースを保つことが重要です」

理緒は少し不満そうだ。

「睡眠薬はどうです?」

誠一郎はデエビコを処方していた。

「効いてます、朝までぐっすりです」

「抗不安薬はどうですか?」

「いい感じで効いていると思う」

一般的なソナックスやデパス辺りで
何とかなっているようだ。

「そうですか、それはよかった」

いつの間にか、理緒は誠一郎に、少しフランクな言葉遣いになっていった。

誠一郎は、それを少し嬉しく思っていた。

< 144 / 302 >

この作品をシェア

pagetop