ワインとチーズとバレエと教授
「…好きになって、ゴメンなさい…」
理緒は消えそうな声で言った。誠一郎は、一呼吸おいて、
「もう、あなたは、ここへは来ないのですね?」
誠一郎は確認した。
「…はい」
「大丈夫だという、自信があるのですか?」
「…はい、先生に会えなくなっても、寂しくても、悪化しても、もう精神科には来ません。どっちみち、精神科は先生で最後にしたかったので」
そういう決意で、生きる決心をしていたのか。誠一郎はなぜ理緒が生きようとしたか、ようやくその答えが分かった。全部、自分のためだったのかー
「……行きたい場所はありますか…?」
「…え?」