ワインとチーズとバレエと教授
医者と教授が含まれてない事もそうだが、
自分のそんな所が好きなだと、
言ってくれた理緒の言葉が嬉しかった。
そもそも、女性にそこまで、褒められた事もない。

「先生はなぜ私を…」

「そうですね…」

誠一郎は考え込んだ。

「一言では言い表せませんが、あなたを患者として、あまり見ていませんでした。あなたは一般的な人以上に常識的で、うつ病や統合失調症の患者さんとは全く違いました、そして……」

美しいから?

若いから?

それもあるかもしれないけれど

なにか違う…

「何とも言えませんが…ただ、あなたを美しいと思いました。そんな単純な理由だけではないのですが…言葉にすると難しいですね…ただ、惹かれました」

それが誠一郎の、精一杯の説明だった。

「……そうですか、嬉しいです」

理緒は、なんとなく目がうるんでいるように見えた。
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