ワインとチーズとバレエと教授

外はどんどん暗くなり、街の明かりが輝き、夕暮れから美しい夜景に変わった。

最後のデザートが出てきたとき、誠一郎は、今後のことを一応、理緒に話した。

「これからも、具合が悪くなったら、すぐに言ってください。それから、LINEはすぐにお返事が出来ないときがありますが、心配しないでください。
翌日の24時までには必ずご連絡します。

大きな学会のある月は、忙しくてお会いできない
ときもありますが、大学病院なので、基本的に休みはカレンダー通りです。まぁ、私はいつもこんな感じです」

誠一郎は理緒がおそらく、聞きたいであろう事を伝えた。

「どうして、私がLINEがないと心配すると分かったのですか?」

「あなたを一年も見ていれば分かります。
おそらく、今日もロビーで、私が来なかったらどうしようとでも思っていたのでしょ?」

誠一郎はクスクス笑った。

「……はい」

理緒がちょっとうつむいた。

幸せが壊れるほど、理緒にとって怖いものはないだろうと誠一郎は思った。

「大丈夫です、あなたとの約束は、必ず守ります、
守れなかったら連絡します」

「はい」

少しずつ未来が見えてきて、理緒は嬉しさと
安心感があった。

食事が終わり、理緒がお財布を出す前に、
誠一郎は、さっさと会計を済ませた。

理緒が「あ、あの、少しでも…」と数千円出してきたが「私に恥をかかせないでください」と、誠一郎は笑って断った。

理緒は「ありがとうございます、ご馳走様です」
と、頭を下げた。

普通のデートならもう一軒、飲みに行ってもいいが、理緒の身体がムリだろうと思った。
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