ワインとチーズとバレエと教授

次はゾウ。
こちらは水浴びして、飼育員に、身体を洗われていた。

理緒の目が輝きっぱなしだった。
フラミンゴなどの鳥類館や、亀などのミニ水族館を経由して、ふれあい動物園に到着したのは、誠一郎の予定より1時間もあとだった。

「わぁー、さっきのペンギンだわ」

理緒が大はしゃぎだ。
飼育員の女性が
「触ってみます?」
と、声をかけてくれた。
「はい!」

「後ろから優しくなでてくださいね、
前からだと、くちばしで、つつくことがありますので」

そう言われ、理緒がペンギンの背中を撫でた。

「感想は?」

「…思ったより、固い…」

「フワフワしてるように見えても、毛の一本一本は太くて固く、そこから油を出して身を守るのよ」

「へー…そうなのね」

しばらく大人しくしていたペンギンが、いきなり
タタタタ…と、どこかへ行ってしまった。

「気まぐれですから…」

飼育員が申し訳なさそうに笑った。
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