ワインとチーズとバレエと教授


次はフクロウにさわれるらしい。

理緒が手にグローブをはめられ、飼育員が「ポポちゃん」という名前のフクロウを、そっと理緒の腕に乗せた。

「わぁー…」

「写真でも撮りましょうか?」

「はい!」

誠一郎はスマホでポポちゃんと、理緒のツーショットをキレイにおさめた。

次はウサギをさわりに、草むらに行き、エサを購入してウサギに食べさせた。

理緒の膝の上にちょこんと乗ってるウサギは
可愛かったが、理緒の方が何倍も可愛かった。

次は子羊をさわり牧場へ行き、
理緒がその辺に栄えている草をあげると、
子羊はむしゃむしゃ食べた。

理緒は笑いながら、どんどん、草をむしって与え続けた。

ふれあい動物園は、これでだいたい終わりだ。

あとは、もと来た道に戻るか、
遠回りになるが、ライオンなどの猛獣コーナーに行くか…
おそらく、ムリだろうと誠一郎は判断した。

飼育員さんとすっかり仲良くなった理緒は、
おしゃべりに夢中だ。そんなところは子供っぽい。

でも、まともに子供をしてこなかったのだから、それも当然かと誠一郎は思った。

理緒が楽しみ終わったのか、
誠一郎のところに戻ってきた。

「楽しかったかですか?」

「はい、とても!」

まだ、興奮冷めやまない理緒だが、もう、動物園には4時間半いる。 

本当は3時間を目安に戻って、どこかでランチでも、と思っていたが…

「では、帰りましょうか」

「はい」

理緒が途中まで、聞き分けがよかったが
来た道を戻ろうとすると

「ライオンゾーンは?」

「…それは別の機会にしましょう。今日のあなたは、歩きすぎてます」

「私なら大丈夫です!」

「明日が動けなくなります、またいつか来たらいいではありませんか」

「……そうですね」

理緒が残念そうに来た道を戻る。

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