ワインとチーズとバレエと教授


そして二人はレストランを出て
誠一郎のマンションに帰宅した。
これでも4時間半は経っている。
もう夕方だ。

誠一郎の玄関に着くと
理緒は、どこか、
ほっとした顔している。

ずっと、疲れないか、
倒れたりしないか
心配だった様だ。

「大丈夫ですか?」

誠一郎は理緒の顔を
覗き込むと、

「はい!
今日はありがとうございました!」

と理緒は笑顔で答えたが
それでも、少し
疲れた様子に見えた。

「いつでも寝れるように
シャワーを浴びてください
タオルは用意しておきますから
多分あなたは疲れていると思います
湯船に入って筋肉を
ほぐした方がいいですよ
あと、薬も飲んでくださいね」

誠一郎は急いで冷蔵庫から
ミネラルウォーターと
理緒の薬を差し出した。

「ありがとうございます…」

理緒はそれを一口で飲むと
誠一郎がバスタオルを手渡した。

「どうぞ、ごゆっくり」

「…あの、お先に失礼します…」

理緒が、またもじもじしながら
バスルームに向かった。

おそらく理緒は
足が痛いだろう。

筋肉も炎症を
起こしてきっと、
疲れているだろう。

そのうち、
バスルームから
シャワーの音が聞こえた。

誠一郎は願った。
何とか、理緒のリカバリーが
うまくいきますようにと。

そしてこの生活が長く続きますようにと。
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