ワインとチーズとバレエと教授

ブラインドの隙間から、朝日がうっすら入るたび、
理緒と一緒にいる誠一郎は朝を恨んだー

ベッドの中では理緒がまだ、すやすや眠っている。

誠一郎は、静かに起きて、コーヒーを入れ、スーツを着て、身支度を整えているとき、そっと理緒が

「おはようございます」

と起きてきた。

「おはようございます、まだ寝ててもいいですよ」

「いえ…たくさん寝ましたから」

理緒はいつも通りの笑顔だった。

「お腹、空きませんか?冷凍食品ならありますが…」

「大丈夫です」

「あなたも良かったらコーヒーを」

誠一郎はコーヒーマシンから適当にあるマグカップにコーヒーを注いで理緒に手渡した。

「ありがとうございます」

リビングで二人で静かにコーヒーを飲む。

理緒はお泊りセットとして、持ってきたワンピースに着替え身支度を整えた。

「あなたのマンションまで、車で送って行きます。
今日は、ゆっくり休んでくださいね、あと、薬も飲み忘れをしないように、食事も、もっと食べてください

それと…私が言った…出来れば側にいて欲しいというあの言葉、考えていただけませんか?」

「え…」

理緒は驚いた顔をしたが

「はい」

と顔を赤くした。
本当に分かりやすい子だ。

誠一郎は理緒の髪を撫でた。そしてそっとひたいにキスをして、

「では行きましょうか」と一緒に玄関を出た。

やはり理緒と離れるのは名残惜しー
誠一郎は理緒の唇にもう一度キスをした。
理緒は照れたように微笑んだ。
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