ワインとチーズとバレエと教授


今朝、理緒の話を聞いて
亮二は、誠一郎を
責める気にはなれなかった。

実際あの誠一郎が
あそこまで理緒に対して
愛情を向けている。

それは、亮二の理緒への
愛情より、ずっと
純粋なものなのだろう。

そして、理緒を
あそこまで回復させた。

それは、誠一郎の
実力だ。

そして本当に二人は
愛し合っているのだろう。

そもそも、
誠一郎が感情的になるとこを
見たのは初めてだった。

そして今朝の理緒の話を聞いて
よりいっそう
誠一郎を責める気には
なれなかった。

「藤崎先生を守りたいの」

理緒の言葉が頭をよぎった。

そして、今度
精神的に傷つくのは
理緒の方だろうー

それでも理緒は
誠一郎を選ぶだろうー

「人間って、そういうもんだよな…」

亮二は切なく笑うと
社宅に戻って
ビールをあおった。

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