ワインとチーズとバレエと教授



懐かしい匂いがする…

父親が微笑んでいる。

「誠一郎」

父に呼ばれたー

父の手にはビー玉のような鮮やかな色のアメ玉が3つあった。

「誠一郎、お前にやる、他の子に渡したらダメだぞ
お前は優しいから…母さんには内緒だ」

父親は微笑む

そして、誠一郎は「うん!」と言って包み紙に入ったビー玉のような鮮やかアメ玉の袋をもらった。

父親は誠一郎の髪を撫でながら

「よしよし、いい子だ」

父が微笑んだー…



「父さん…」


なぜか自分の言葉で目が覚めた。

時計を見ると朝6時だった。書斎で寝てしまったようだ。

自分はいつも、何かの夢を見ている。

いつも同じ夢を見ている気がするが、
でも、いつも何の夢を見ているのか思い出せない…

まぁ、そんなことはどうでもいい。

誠一郎は、冷蔵庫に朝食を取りに行った。

今回はブロッコリーとマカロニのパスタをレンジでチンして温め、急いで口に入れミネラルウォーターで流し込む。

そしていつも通り出勤する前に理緒がにLINEをすることを思い出した。

「おはようございます。体調はどうですか?
津川先生とはよく話し合えましたか?
私も津川先生に色々お話しさせていただきました。
私たちのことは心配しないでください。愛してます」

そう送信すると、すぐに既読になり理緒が、

「誠一郎さん、おはようございます
私も愛してます」

と返事が来た。理緒は大丈夫そうだ。

そう思うと今日の講義や外来も頑張れそうだ。

誠一郎は玄関で靴紐を結び大学病院へ出勤した。

何か不自然な気持ちを忘れながらー

< 239 / 302 >

この作品をシェア

pagetop