ワインとチーズとバレエと教授
精神科外来へ戻った誠一郎に他の医局員たちは

「先生、大丈夫ですか?」

と心配そうに声をかけたが、誠一郎は、

「なんともありません、皆さん、心配をおかけし申し訳ありませんでした。通常業務に戻ってください」

そう言った。

「先生、本日は、お帰りになった方が…」

「いいえ、残っている患者を私に回してください」

他の医局員たちは、心配そうに誠一郎を見つめた。

誠一郎はいつも通り、淡々と患者の名前を呼び、診察を始めた。

その後、特に異変は起こらず、誠一郎はすべての患者を診終わると、夕方6時になっていた。

誠一郎は 「はぁ…」と、深いため息をついた。

最近やたらと、自分の何かが、おかしい気がしてならない。

でも何も思い当たることはない。とりあえず身支度を整えて今日は早く帰ることにしよう。もしかしたら理緒がいるかもしれない。

誠一郎はそう思い理緒にLINEをした。

「今日はウチに来てますか?」

するとメッセージはすぐ既得になり、

「はい、お料理を作ってお待ちしております!」

と返事が来た。帰宅したら理緒がいる。誠一郎はそう思うと胸が弾んだ。

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