ワインとチーズとバレエと教授
理緒は泣きながら

「誠一郎さん!お願いです!しっかりしてください!今、救急車を呼びましたから…!」

そう言って携帯電話を手にし、119番通報で救急車を呼んだ。すぐに応対があり 「事故ですか?救急ですか?」 と聞かれ、理緒は

「救急です!」と伝えると

「患者さんは、どのような状態ですか?」

「えっと、あの、大学病院の、精神科の医師をしています…」

「患者さんは、お医者さんですか?」

「はい、今、 吐血して、倒れて…」

「吐血ですか?住所お願いします」

「えーっと…」
理緒が何とか現在地の住所とマンション名を言えた。自分の家じゃないので郵便番号までわからない。

「大丈夫です、こちらで全て把握しています」

救急隊員はすぐに分かったようだ。

「相手のお名前は?」

「藤崎誠一郎です」

「お勤めはどこですか?」

「国立大学病院です」

「もしかして 藤崎先生ですか?」

「はい!」

多分、病院で何度も患者を搬送しているので、誠一郎とは顔見知りなのだろう。

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