ワインとチーズとバレエと教授
入院 1週間目は、ほとんど絶食だった誠一郎だが、
少しずつお粥を食べれるようになった。

食事のときは、理緒が自分で作ってきたおにぎりを、サランラップから開いて、誠一郎と一緒に食事を取った。

他にも、タオル、歯ブラシ、スリッパ、テッシュ、タオルに、シャンプーにバスタオルに箸やコップなど、誠一郎のマンションから持ってきてくれた。

「こんなことまでさせて、申し訳ありませんね…」

「いえ、私は幸せです」

理緒は微笑んだ。

「誠一郎さんが、少しでも食べれるようになって
よかったです」

「食べなきゃ治りませんしね。それにしても…お粥は、まずいですね。あなたの手料理が食べたい」

「今は仕方ありません。退院したら、また作りますね」

そして穏やかな時間が過ぎて行った。

誠一郎はいつも窓を見ていた。青い空が広がっている。

「今になって患者さんの気持ちが分かります。こんな生活を毎日してたら、本当に息が詰まりそうです…暇ですしね…」

「そのためにお医者さんがいて早く治してあげるのでしょう?」

「そうでしたね」

誠一郎も理緒もクスッと笑った。

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