ワインとチーズとバレエと教授
誠一郎の父親は厳格な教授だった。

この国立大学医学部を卒業し、順調にポジションを上げ、父親が42歳のとき教授に就任した。誠一郎はまだ17歳だった。

誠一郎は、自分も医師になるのは当然だと、いつのまにか思っていたし、父親にもそう言われていた。

「お前は教授になれ、ただ俺がいる限り、ここの大学病院の教授にはなれん、

俺が退官したあと、息子のお前がここの教授になるのも品がない。

お前はどこかの大学に出て教授になるんだ。俺が推薦状を書いてやる、しっかりやるんだぞ」

父親はいつもそう言っていた。

そして誠一郎自体、研究が好きだった。

父親の背中を見て真っ直ぐ育った誠一郎は、途中までは、父親の愛情を感じていた。途中まではー

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