ワインとチーズとバレエと教授
大きな仕事はこれで終わったー
誠一郎は無事に胸をなでおろし、学会会場から飛行機に乗り、理緒の待つマンションへ帰るところだった。

そして、飛行機からの景色を見て、自分の仕事が
すべて終わったと感じていた。
空港で医局員に 「先生、お疲れ様でした」と声をかけられ、そこで各自、解散し誠一郎は、4日ぶりの自宅に戻った。

玄関を開けるといつも通り

「誠一郎さん、お帰りなさい」

と美しくて、可愛らしい理緒がいた。

「ただいま」

そういうと、誠一郎は理緒を抱きしめた。

「誠一郎さん、学会で賞を取ったんですって?」

「何で知っていのですか?」

「もう大学のホームページに掲載されてますよ、ほら」

「それは、うちの部長が更新しているんだよ、気が早いな…」

「誠一郎さん、おめでとうございます」

「3ヶ月もあなたをほったらかしかしにし、
どこも連れてってやれず、さらに、ほとんど話もできず、申し訳ありませんでしたね。
これからは2人の時間を大切にします」

誠一郎は理緒をもう一度きつく抱きしめた。
そして、理緒がまた照れる。

「これはお土産です」

綺麗なクッキーの箱だ。

「まぁ、ありがとうございます」

「空港で買っただけのものですが、それなりに美味しいと評判だそうですよ」

「大切にいただきます、あとで、お茶菓子と一緒に
お出ししますね」

「あなたが食べてください、今日の夕飯はなんでしょう?」

「今日は、すき焼きにしようと思ってます。
誠一郎さんが、こないだ、学会が終わったら、鍋でも食べたいとおっしゃってたので、すき焼きにしました」

「ありがとうございます」

誠一郎がスーツから部屋着に着替えて、さっそく理緒が作ってくれたすき焼きを食べてた。

「…美味しいです」

誠一郎は満足だった。すき焼きではなく、こんな雰囲気にだ。

「誠一郎さん、 卵もう1ついりますか ?」

「えぇ」

理緒は、冷蔵庫に行き生卵を持ってきて、誠一郎の器に割った。誠一郎はクスッと笑った

「なんか、 新婚みたいでそうですね…」

理緒がまた照れた。

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