ワインとチーズとバレエと教授
2024年の2月18日、誠一郎は46歳になった。
理緒は帰宅した誠一郎に
「お誕生日おめでとうとございます」
と言って、誠一郎に、最終講義でつけるカフスボタンをプレゼントした。

そのカフスには誠一郎の「S」と藤崎の「F」がイニシャルで掘られたシルバーのカフスだった。

誠一郎は「こんな高価なものをありがとうございます」と微笑み、さっそくYシャツの袖につけてみた。

誠一郎にはよく似合うー理緒はそう思った。
そして、誠一郎は「あなた、カフスを男性にプレゼントする意味を知ってますか?」
と、おもむろに聞くので
「え?意味があるのですか?」
「えぇ、"私を抱いて"という意味ですよ」
誠一郎はカフスをつけながらチラッと理緒の顔を見た。
「カフスボタンにそんな意味があるなんて、知りませんでした…」

「でしょうね…」

そう言って銀色に光る美しいカフスを理緒に見せた。

「お、お似合いですよ…」

理緒は照れながら答えた。

「最終講義は、あなたのプレゼントしてくた、ネクタイとカフスボタンで講義しますね」
そう言って理緒にキスをした。
「で、私に抱いてほしいのですか?」
「あ、いえ、そういうわけじゃなく…」
「では、抱かれたくないのですか?」
「いえ、そういうわけでも…」
理緒は照れる。
「今日は私の誕生日ですよ?私が一番欲しいプレゼントはあなただ…」
そう言って、誠一郎は理緒を抱きかかえて寝室のベッドに連れて行き、押し倒すのだった。

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