ワインとチーズとバレエと教授
翌日、理緒は高杉に言われるまま、
ミルバに行き、指定された
トウシューズを店員に
出してきてもらった。
まずパットを入れて、
そっと足を入れる。
女性店長さんに「体重をかけて、ポアントで
立たないようお願い致します
商品ですので、あくまで
つま先を入れるまでで、ご了承ください」
女性店員は、手馴れた手つきで
次々にトウシューズを用意した。
「感覚としてはどうでしょう?」
「えっと…なんとなく、
右側が痛いような…」
と理緒が言うと
「では、幅はこちらにしましょう」
と見た目がほとんど変わらない
トウシューズを出してきた。
今度はかかとが痛い。
「ではパットを変えてみましょう」
それを一時間半以上繰り返し、
ようやく自分に合う、トウシューズを見つけて帰宅した。
帰ったら、さっそく、指定された場所にリボンを縫い付け、
トウシューズをドライヤーで温め
トンカチで叩き、爪先をつぶした。
そして、椅子の背もたれを使い
トウシューズを当てて、しならせた。
しならせると、足の甲が出て正しい姿勢で立てる。
そしてもう一度、履いてみると、ぴったり合った。
これで大丈夫そうだ。
理緒は、そのまま
ポアントで立ってみた。
何センチも身長が、高くなったように感じる。
そして、景色が高いー
「すごい、これがトウシューズで
立つという意味なんだ」
理緒は、トゥシューズで
テテテテと、パドブレをしてみた。
気分はすっかりバレリーナだが
トウシューズに、立たせてもらっている状態だった。
「これで、どうやって
ジゼルを踊るのかしら…」
理緒は次のレッスンが楽しみだった。