ワインとチーズとバレエと教授


理緒が新しいトウシューズを持って
スタジオへ行った。

いつも通り、高杉の厳しい
レッスンがマンツーマンで行われ、

いよいよセンターレッスンに入り、
トウシューズに履き替えた時、
残念な事が起こった。

ピルエットをしているとき
トウシューズが脱げてしまうのだ。

困った顔をしている理緒に高杉は

「こういうことは、よくあります、
レペットは破棄しましょう」

「…え、でも、一回しか
履いていないのに…」

「でも、これじゃあ、
使い物になりません。
それに危険です。
レペットをもう一度ミルバに持って行って事情を説明し、別のトウシューズを買って下さい…おそらく、グリシコ辺りが良いかと思います」

高杉がそっけなく言った。

8000円のトゥシューズが
あっという間に廃棄された。

また亮二に、お金を使わせてしまうことを
理緒は心配した。

そして亮二に事の経緯を伝えると

「いいじゃないか、
最初から、そういう話だったし
トウシューズは、そういうものなんだろう?」

と亮二はあっさり理解してくれた。

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