ワインとチーズとバレエと教授
次はマランツにCDを入れて、お気に入りの
ラフマニノフを聴いた。
が、これもソワソワして耳に入ってこない。
紅茶を入れて飲んでみたが、何の気休めにもならなかった。
なら、バレエの復帰のため筋トレ…と思ったが、
異型狭心症の発作が出たら、また誠一郎に迷惑がかかると躊躇した。
次に、次はYou Tubeを見て、お気に入りのバレエダンサーの黒鳥のグランフェッテを見たが、
それを見ると、バレエをやりたくなるので
You Tubeを止めた。
ネットフリックスも見たが、頭に入らない。
焦りが出てソワソワする。
「やっぱり仕事に行こうかな…」
でも異型狭心症で倒れたので、
橋本先生も心配している。
昨日、休むと言ったのに、会社に行ったら
変に思われるだろう…。
モヤモヤしながら、何もできず理緒は一日を終えた。
ベッドに入っても眠れなかった。
そしてそのまま翌朝となった。
眠たいのか、冴えているのか、分からないほど理緒の思考が、段々とおかしくなってきた。
理緒は、朝からワインとチーズを食べた。
今日も赤ワインにチェダーチーズだ。
食べること以外に、することが思いつかない。
とりあえず、サラダと鶏肉を蒸したものに
ワインとチーズを口の中に放り込む。
気がつくと、昼前に
ワインが一本空いていた。
でも、理緒はアルコールで酔ったことはない。
ただ、テーブルの上のパスタや、唐揚げの袋を見ると食べ過ぎていたと自覚した。
「知らない間に、こんなに食べてるなんて…」
理緒はトイレに行って、口の中に指を突っ込み、全部吐き出した。
胃の中がひっくり返るまで、何度も吐き続け、胃の中に何も無くなったと確信したら、嘔吐物を流した。
「私はどうしたらいいの…」
そうつぶやいてベッドに横になると、ようやく、うつら、うつらしてきた。
そんなときは決まって
嫌な夢を見る。