ワインとチーズとバレエと教授
理緒が好きな、たこ焼きを手に持ち
呆気に取られた亮二がそこにはいた。
「…どうした?…何があったんだ…?」
理緒の荒れ果てた部屋を見て
ただならぬ様子だと理解した亮二は、
理緒に近づいた。
「こないで!」
「理緒…」
理緒が亮二を睨みつけた。
「ここには来ないでって
言ったじゃない!」
「そうだけど、顔を見るくらい…
最近、連絡もないし…何があったんだ?」
亮二が玄関で靴を脱いで
急いで部屋に入ってきた。
そこには亮二が知らない、理緒のスーツや、法律関係の資料や、理緒の名刺まである。
「仕事…してるのか…?」
「関係ないでしょ!?」
「何で何も言わないんだよ!
心配してきたんだぞ!」
「心配!?いらない!必要ない!
入ってこないで!!」
「一体、何があったんだ!?」
「うるさい!!!」
理緒が亮二にCDを投げつけた。
「理緒!」
「うるさい、黙れ!!!」
今度はバレエの本をバンバン亮二に投げ付けた。
「理緒!やめろ!何があったんだ!?
誠一郎のところに明日行こう!診てもらおう!」
「あの先生は関係ない!」
「いや!そんなわけには…」
と言いかけたとき、亮二が手に持っていた
たこ焼きを理緒がひったくり、亮二に投げつけた。
「心配!?ウソ!!罪悪感で私のところに
来たんでしょ!?」
「……」
亮二が黙った。
「全部、亮二さんのせい!こうなったのは全部
亮二さんのせい!助けるふりして私を利用した!」
「理緒、違うって…」
「違うって本当に言い切れる!?」
理緒が睨みつけてきたが、
亮二は何も言えなかった。
「バレエをやめたいと言ったとき、
やめるなと言ったのは亮二さんじゃない!
私がモデルになったときも、亮二さんが周りに自慢したかっただけでしょ!?
わざと忘れ物して私に病院に持ってこさせたのも
知ってるんだから!
私は亮二さんの人形じゃない!!」
理緒が叫んだ。
亮二は「違う」とは言い切れなかったー