悩める転生令嬢は、一途な婚約者にもう一度恋をする ~王族男子は、初恋の人を逃がさない~
 コップを眺め終わったら、僕も一緒に工房を見学させてもらった。
 裏でこっそり性別を確認されるたびに遠くを見てしまったけど、それも今だけだ。
 僕の家系は身長の高い人が多いから、きっと、きっと僕だって……アイナと頭一個分ぐらいの差をつけて大きくなるんだ……。



 帰る前には、この工房の跡取り息子と少し話をさせてもらった。
 僕とアイナを見ているなあと思ったから、少しだけね。
 彼の視線から「気になる女の子が男を連れてきた」「どんな関係なんだろう」って気持ちを感じたから、「彼女の婚約者です」と挨拶させてもらっただけだ。
 そう。「挨拶」をした。ただそれだけ。
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