悩める転生令嬢は、一途な婚約者にもう一度恋をする ~王族男子は、初恋の人を逃がさない~
 そういうところ、君は昔から変わらない。
 これだから、君と一緒にいたい、君の手を離したくないって僕の気持ちも変わらないんだ。
 かわ……の部分は聞かなかったことにしよう。
 数年後にはかっこいいと言わせてみせる。


 そうだ、アイナがいれば即座に解決する悩みなんかどうでもいい。
 それより、話したいことがあったんだ。

 僕も手作りのコップが欲しい。
 僕らの色を取り入れて、君が作ってくれたやつが欲しい。

 ……後半を伝え忘れたせいでアイナに意図が伝わらず、自分で作ることになってしまった。
 


 工房ではすごく褒めてもらえたけど、違う……違うんだ……。
 楽しかったし、いい体験になったけど、そうじゃないんだ……。
 好きな子が作ったものが欲しかったんだ……。

 どうして欲しいのか、なにが欲しいのかをはっきり伝えないとこうなる。
 ……鈍い人が相手だと、余計に。
 12歳の僕はそう学んだ。
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