軽率に恋 シリーズ1
蓮斗くんは、返事のない上司たちをまた睨むと、
私のカバンと上着を持って、強めに私の腕を引っ張って店を出た。
「どこ行くの?」
「何も考えずに出てきちゃった…」
「え?じゃあ、どこかで飲み直す?蓮斗くん飲みたいでしょ?」
「別にそういうわけじゃ…。苦しそうな優衣ちゃんが見てられなくて」
「あ。助けてくれたの?ありがとう…」
やっぱり蓮斗くんは、何を考えているのか分からない。
こういうところが、私の決意が揺らぐ最大の敵。
蓮斗くんの何気ない優しさ。