軽率に恋 シリーズ1
そんな叶わないであろう作戦を考えながらトイレを出ると、一つ手前の男性トイレから懐かしい顔が現れた。
「蓮斗くん…」
「優衣ちゃんじゃん!久しぶり!」
大学生の時から変わらない、少年みたいな笑顔。
笑うと右頬にだけ、控えめな笑窪ができるんだよね。
「顔色悪くない?大丈夫?」
会社の上司たちはお酒も入ってるし盛り上がってるしで、私の体調不良に誰も気づかなかった。
というより、そういうのは興味がないと言った方が正しい。
それなのに、久しぶりに会った蓮斗くんは、すぐに私の異変に気づいてくれた。