ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
𝑷𝒓𝒐𝒍𝒐𝒈𝒖𝒆


じめじめとしたある梅雨の日。

私は道端で傷だらけの子犬を拾った。


遡ること一時間前。


いつものように学校を終え、帰路についていた私は苦しそうなうなり声を聞いた。


声がした方向へ目を向けると、道路の脇に生えた草むらの中に一匹の小さな子犬がうずくまっていた。

……というのは私の悪い冗談で、正確に言うと傷だらけの男の子が、倒れていた。


「あ、あのー、大丈夫ですか」


恐る恐る声をかけてみたけれど、反応なし。


雨脚が強くなるのを感じて、このままじゃ体が冷えてしまうと思った私は傘を男の子の方へ傾けた。しゃがみ込んで、男の子の顔色を確認する。


顔中真っ青で、傷口からは真っ赤な血が雨に溶けて地面に滴っている。


えっと、……うん。まず私の思考停止した脳、今すぐ動け。


これは見なかったことにする?

それともお人好しのような善良な性格をここで発揮する?


究極の選択に迫られる私。

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