ワケありモテ男子をかくまうことになりました。


教室に入ると、俺に気づいたB組の拓真(たくま)勇司(ゆうじ)が声をかけてきた。


「よっ、凛大! お前なんか眠そうだな」

「うっわ、水泳大会で優勝した二宮サンすか? 俺大ファンなんです、握手してください」


いつも通り爽やかな調子の拓真と、ダルいノリをしてニヤニヤしている勇司。

二人とも、俺と同じ競泳部の仲間兼ダチだ。


「うるせーよ勇司。あれ、タク、今日髪の毛セットしてんの?」

「あ、気づいた? 大会も終わったし、ちょっとくらい良いかなって」

「うん、マジ似合ってる! かっけえ!」

「ははっ、照れること言うなってー」


拓真は目を伏せて笑った。


チャイムが鳴るまでの間、俺たち三人は次のテストのことや大会の結果のこと、それとタクの彼女の話なんかで盛り上がった。


七時間目は、A組とB組合同の総合だった。

名目は来月行われる林間学校の最終的なグループ分け。


前の総合の時間にクラス内で作った四人グループと、B組の四人グループが合わさって一つの班になるらしい。


「ねえゆいー。これって俺らが好きに決めていいの?」


斜め前の席に座るゆいに話しかけた。

ゆいは首を少しだけ動かして、俺を見た。


曇りない綺麗な瞳に見つめられて、思わずドキッと胸が高鳴る。

< 100 / 150 >

この作品をシェア

pagetop